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セクハラを理由とした懲戒処分につきセクハラの事実が認められないとして無効であるとされた事例 大阪地判平成23年9月16日労判1037号20頁 P大学(セクハラ)事件

 セクハラを理由とした懲戒処分につき、セクハラの事実が認められないとして、無効であるとされた事例を紹介します。

【事案の概要】
 被告Y大学の男性教授XがY大学の同じ学部のA准教授に対してセクハラ行為を行なったとして、Y大学がXに対して減給の懲戒処分をしたことにつき、Xは、セクハラの事実を否定し、Y大学に対して、減給処分の無効を主張した事案です。

 A准教授が主張するセクハラ行為は、①飲酒の誘い(何回も誘われ、飲酒の約束を強く迫られた)、②飲食店での身体的接触(XがA准教授の左太もも付け根部分に置く行為を7~10回行なった)、③帰宅途中の電車内での身体的接触(二の腕を掴まれた)、④駅構内での身体的接触(XがA准教授の正面から自分の懐へ腰から抱き寄せた)、です。

【争点】
 主に、セクハラの事実の有無です。

【判決】
 判決は、「確かに、A准教授の主張や証言は、ある程度具体的詳細な内容を含んでいると思われること、…セクハラ行為をでっち上げる明確な動機は不明であるといわざるを得ないこと、…メリットは存在せず、かえって、心身上のエネルギーの費消や研究生活を送る者として学内外における様々なリスクを伴う…ことからすると、A准教授が、あえて本件大学に対し、虚偽の救済申立てをするとは考え難いという面も否定できないところである」と述べつつも、

①飲食の約束に至る経緯では、A准教授からメールアドレスを知らせる等の積極的な対応をしているし、Xからのメール内容を見ても、自らの地位を利用して高圧的な態度をとっているとは認められないこと、
②飲食当日のA准教授の行動としては、長時間飲食を共にし、A准教授主張のセクハラ行為の後に1時間半も店内にいたこと(また、最後には雑炊を注文しており、一刻も早く立ち去ろうとはしていないこと)、帰宅の際にXがA准教授とは違う経路で帰ろうとしているにもかかわらず、Xが購入した切符を交換して同じルートで帰ったこと、帰路途中にA准教授のほうからXにメールをし、その内容は、お礼や電車を乗り過ごさないように気遣いするものであったこと、
③XはA准教授に対して執拗にメールを送信したり電話もしていない(少なくとも裏付けとなる的確な証拠はない)こと、

などの事情を総合的に考慮すると、A准教授が主張するようなXのセクハラ行為があったとまで認めることはできないとし、Xの請求を認めました。

【コメント】
 セクハラの事案は、当事者の言い分だけが主な証拠になることが多いというのが、1つの特徴です。このようなトラブルが生じた会社の担当者としては、どちらの主張が正しいのか判断が難しく、どのように対応すべきか悩ましいところです。

 本ブログでは、なるべく事実関係を詳しく紹介して、読者がセクハラ事案の対応のイメージをつかむことができるようにしていきたいと思います。
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弁護士田辺敏晃

Author:弁護士田辺敏晃
東京の四ッ谷駅近くで執務する弁護士です。
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法律の話題を中心に、書籍紹介、趣味の話などもまぜて書いています。

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