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【人事・労務・労働問題】管理職に対する配転命令が有効とされた事例・東京地裁平成22年5月25日判決・労判1017号68頁

 今回は、管理職に対する配置転換の命令(ただし、降格処分ではないとの認定がされています。)が有効とされた事例として、東京地裁平成22年5月25日判決・労判1017号68頁(GEヘルスケア・ジャパン事件)を紹介します。

 医療用機器メーカーである被告Y社の製造本部EHS(環境・安全衛生)室長であった原告Xは、物品等の受け入れ検査部門への配転命令を受けたため、配転命令の無効確認と慰謝料の支払いを請求した事案です。

 配転命令の有効性については、最判昭和61年7月14日(東亜ペイント事件)が基準を示しており、①業務上の必要性が存しない場合、②不当な動機・目的をもってなされたものであるとき、③労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときなど特段の事情がある場合には、配転命令が権利濫用として無効となります。

 本件でも、上記の特段の事情があるかどうかが争点となりました。

 判決は、①につき、ある問題につきXの提案を受けたY社がXの提案を採用しない意思決定を行ない、Xに説明したにもかかわらず、Xが納得せずに問題を蒸し返して、Y社社長に直接メールを送信して自己の主張を繰り返した行為等につき、管理職であるEHS室長の適性を疑われてもやむを得ない言動であり、XがEHS室長の適性を備えていないというY社の判断は相当で合理的であること、配転先の物品受入業務は単調であるものの、Y社が原告を無理矢理当てはめるために作り出した業務でもないこと等を理由に、業務上の必要性を認めました。
 また、②については、Xが主張する事実はなく、③についても、Xの資格や給与額が変更されておらず人事上の降格とはいえないことなどから、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものではないため、配転命令は無効とはいえないとして、原告の請求を全て棄却しました。

(コメント)
 今回の判決は、従来の実務の運用に沿った判断と言えます。なお、配転後に配転前と異なる職種を担当させる配転命令も可能ですが、退職に追い込む目的で行なわれた配転命令の場合(裁判所が、配転命令の目的が退職に追い込む目的であると認定した場合)、上記の②に該当して無効とされることになりますので、要注意です。
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弁護士田辺敏晃

Author:弁護士田辺敏晃
東京の四ッ谷駅近くで執務する弁護士です。
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