スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【人事・労務・労働問題】経費を不正請求・取得した従業員への懲戒解雇が無効とされた事例・東京地裁平成22年7月23日決定・労判1013号25頁

 経費を不正取得した従業員への懲戒解雇が無効とされた事例として、東京地裁平成22年7月23日決定・労判1013号25頁(地位保全等仮処分命令申立事件)を紹介します。

【事案の概要】
 Y社の人事部長であったXが、担当した社内旅行に関して本来Y社が負担すべきでない個人的な費用(妻同伴の下見旅行費用約2万3000円)を総旅行代金に計上して、社内旅行費用に関する稟議書を提出したこと等を理由に懲戒解雇されたことに対して、労働契約上の地位確認および賃金仮払いの仮処分を申し立てた事案です。

 Y社には、就業規則に、服務心得規定(自己の業務上の権限を越えて専断的なことを行わないこと。)及び懲戒解雇規定(服務心得規定に違反した場合であって、その事案が重篤なときに懲戒解雇に処する)がありました。

【裁判所の判断】
 裁判所は、懲戒処分の有効要件として、①懲戒処分の根拠規定があること、②懲戒事由への該当性、③相当性の3つを挙げたうえで、Y社に懲戒処分の根拠規定があることを認定しましたが、Xの行為はひそかに策略をめぐらしたものでもなく、下見費用はY社にとって僅少で、Xは後日全額を支払っていることからすると、著しく悪質とはいえないため、懲戒事由に該当しないから無効であるとして、1年間分の賃金仮払いを認めました(地位保全については、賃金仮払いが認められた以上、必要性がないとして却下)。

【コメント】
 使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別および事由を定めておくことが必要であり(最判平成15年10月10日労判861号5頁)、本件裁判例もこれを当然の前提にしています。いざというときに懲戒処分をすることができるように、就業規則にしっかりと懲戒処分の種類、懲戒事由を規定しておく必要があります。

 従業員による経費の詐取・不正取得等を理由とする懲戒解雇が無効とされた点については、また後日、触れたいと思います。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

弁護士田辺敏晃

Author:弁護士田辺敏晃
東京の四ッ谷駅近くで執務する弁護士です。
経営者側に立った労働問題の解決に力を入れています。
法律の話題を中心に、書籍紹介、趣味の話などもまぜて書いています。

【Facebook】
http://www.facebook.com/toshiaki.tanabe.5

【事務所】
東京都千代田区麹町6丁目4番地麹町ハイツ902
川合晋太郎法律事務所
電話03-3511-5801

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。