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【人事・労務・労働問題】タイムカード取り上げによる慰謝料が認められた事例・大阪地裁平成22年7月15日判決

 被告Y医療法人に雇用された後に解雇された原告Xが、①未払賃金、時間外労働の割増賃金等の支払いを求めるとともに、②Xの上司が、すでに帰宅したXに対して夜中に電話をして、職場に戻るように指示したが、Xが応じなかったところ、その翌日以降、YがXのタイムカードを取り上げてタイムカードを打刻させなかった措置や、YがXからタイムカードの開示を求められた際に開示を拒絶した措置等について、不法行為に基づく損害賠償金(慰謝料)の支払いを請求した事案です。

 裁判所は、②について、「使用者は、労基法の規制を受ける労働契約の付随義務として、信義則上、労働者にタイムカード等の打刻を適正に行わせる義務を負っているだけでなく、労働者からタイムカード等の開示を求められた場合には、その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り、保存しているタイムカード等を開示すべき義務を負うものと解すべきである。そして、使用者がこの義務に違反して、タイムカード等の機械的手段によって労働時間の管理をしているのに、正当な理由なく労働者にタイムカード等の打刻をさせなかったり、特段の事情なくタイムカード等の開示を拒絶したときは、その行為は、違法性を有し、不法行為を構成するものというべきである。」と述べて、慰謝料請求の一部(10万円)を認めました。

 本件は、会社(法人)側が労働者に対してタイムカードを打刻させず、タイムカードの開示を拒絶した措置について、労働者からの慰謝料請求を認めた点に特徴があります。
 私の勝手な推測では、おそらく本件のY医療法人は、Xに対する嫌がらせ目的でタイムカードを取り上げたのだと思いますが、腹立たしさのあまり、勢いでこういう行為をするのは避けたほうがいいでしょう。

 会社と従業員の間で時間外割増賃金のトラブルが生じた場合、多くの従業員は会社に対してタイムカードの開示を請求してきます。これに対して、会社がタイムカードの開示を拒絶するケースも見られますが、その場合、本件の裁判例によると、会社は、時間外割増賃金とは別に、開示拒絶措置それ自体による慰謝料を支払うことになります。
 会社としてはこのリスクも踏まえて対応していく必要がありそうです。

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弁護士田辺敏晃

Author:弁護士田辺敏晃
東京の四ッ谷駅近くで執務する弁護士です。
経営者側に立った労働問題の解決に力を入れています。
法律の話題を中心に、書籍紹介、趣味の話などもまぜて書いています。

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